7月23日金曜日、連続講座「アートとコミュニティ」が
ヨコハマ創造都市センター3階にて開催されました。
この講座も4回目を迎え、お馴染みの顔ぶれも増えてきました。
熱心に参加してくださる皆様に会える事をとても楽しみに感じています。
さて、第4回目の講師は、工学院大学工学部准教授の遠藤新さんです。
「横浜元町ショッピングストリート」計画に携わるなど、横浜の
都市デザインにも縁の深い遠藤さんですが、
今回は、ご自身の研究分野でもあり
日本都市計画学会論文奨励賞(2004年度)も受賞された論文
「地区を顕在化する都市再生手法の研究
〜米国中西部ダウンタウン・フリンジの再生戦略を中心に〜」に基づき、
調査研究をされているアメリカ中西部のまちづくり事例について、
お話頂きました。
アメリカ中西部の都市は10ヶ所以上も実地調査を行っている遠藤さんですが、
今回の講義ではプロビデンス、ボストン、フィラデルフィア、セントポールの
4都市におけるアートディストリクトについて説明をされました。
「アートディストリクト」とは、沢山のアーティストが居住し、
かつギャラリーや劇場などの文化施設、カフェやレストラン等の
アメニティ施設が集積する個性的なエリアの事を指すそうです。
「アートディストリクト」による街の再生は、アメリカにおいては
20世紀初頭より、自然発生的に、或は行政による戦略の元、
様々な都市で発生しているそうです。
最も有名な例ではSOHO地区もアートディストリクトに含まれ、
「SOHO Syndrome」なる言葉もあるそうですが、遠藤さんのお話は
4都市毎に、その成り立ちや活動内容、周辺住民との関係、行政の施策、
またアートディストリクト固有の問題点についても言及されました。
今回ご紹介頂いた「アートディストリクトによるまちづくり」は、
アメリカでは数ある事例の一部ですが、中々日本では紹介されている機会が
少ないそうで、連続講座の中で唯一の、まちづくりに携わる講師である
遠藤さんならではのお話になりました。
「アートディストリクトの失敗例は?」
「地価が上がる事で起こるジェントリフィケーションの問題についてどう思うか。」「アーティストの定着率は?」など、会場からの質問に回答したのち、
最後に、今回説明頂いたアメリカの事例から、日本のまちづくりに対して
どのような点を学ぶ事ができるのか、まとめのお話を頂き、終了となりました。
今回のお話は、連続講座の中でも番外編とも言える内容でしたが、
やはり現場のボランティアやサポーターを中心とした様々な人たちが
アートの現場を支えているのだな、と改めて実感するお話でした。