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作家名
Name
蔡國強/Cai Guo-Qiang
出身国
Country of birth
中国/China
在住国
Country of residencey
米国/The United States
生年月日
Year of born
1957
経歴
Biography
1957 中国福健省泉州市に生まれる
1980-88 この頃チベット高原、敦煌などを旅行
1981-85 上海演劇(戯劇)大学美術学部に在籍
1986 12月に来日 以後95年まで日本在住
1989 中国現代美術展の主催により北京で『日本の現代美術状況』をレクチュア
1989-91 筑波大学総合造形研究生
1993 カルティエ現代美術財団アーティスト・イン・レジデンス・プログラムにより3ヶ月間パリに滞在
1995 「第46回ヴェネツィア・ビエンナーレ」トランス・カルチュア展ベネッセ賞受賞
日本文化デザイン賞受賞
  アジア文化カウンシルの招待により、1年間ニューヨークP.S.1ミュージアム・インターナショナルスタジオ・プログラムに参加
1997 第1回織部賞受賞
1999 「第48回ヴェネツィア・ビエンナーレ」国際賞受賞
現在米国(ニューヨーク)に在住する
個展
Solo exhibition
1998
  『胡思乱想』 誠品画廊 台北 台湾
  『不破不立-引爆台湾省立美術館』 台湾省立美術館 台中 台湾
1997
  『飛龍在天』 ルイジアナ現代美術館 デンマーク
『文化大混浴-Projects for 20th Century』 クィ-ンズ美術館 ニューヨーク 米国
  1996
『キノコ雲のある世紀-Projects for 20th Century』 ネヴァダ核実験場 ネヴァダ州、ユタ州ソルトレイク、ニューヨーク・マンハッタン
1994
『混沌』 世田谷美術館 東京
『炎について』 東京画廊 東京
『Project for Extraterrestrials No.14: 地平線-環太平洋より』 いわき市 福島
『環太平洋より』 いわき市立美術館 福島
『生命暦』 APAギャラリー 名古屋
1993
  『龍脈』 P3art and environment 東京
『Project for Extraterrestrials No.10:万里の長城を1万m延長するプロジェクト』 嘉峪関 中国
1992
  『嘆きの壁-400台の自動車のエンジンより』 かわさきIBM市民文化ギャラリー 川崎
1991
  『原初火球-The Project for Projects』 P3art and environment 東京
1990
  「作品展1988-89」 大阪府立現代美術センター 大阪
1989
  『炸裂・空間孔』 KIGOMAギャラリー 東京
グループ展
Group exhibition
2000
  「ホイットニービエンナーレ」 ホイットニー美術館 ニューヨーク
「第12回シドニービエンナーレ」 シドニー オーストラリア
「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ2000」 『ドラゴン現代美術館』 越後妻有6市町村 新潟
1999
  「第48回ヴェネツィア・ビエンナーレ」 『アペルト・オーバーオール』 ヴェネツィア イタリア
1998
  「別荘・庭園・記憶」 フランスアカデミー・オブ・ローマ ローマ
      「創傷-現代美術における贖罪」 『分海-Project for Extraterrestrials No.30』 ストックホルム現代美術館 スウェーデン
「欲望場域 台北ビエンナーレ」 『ゴールデン・ミサイル』 『広告域』 台北市立美術館 台湾
「グローバル・ヴィジョン-90年代のニューアート」 『龍が来た!』 デステファンディション アテネ ギリシャ
「交差」 『龍が来た!/狼が来た!-チンギスハンの舟』 『龍が来た!-オタワ川より』 ナショナルギャラリー オタワ カナダ
「イッセイ・ミヤケ メイキング・スィングス」 カルティエ現代美術財団美術館 パリ
「残跡-メルボルン・フェスティヴァル」 メルボルン オーストラリア
1997
  「亜細亜散歩・」 『天機』 資生堂ギャラリー 東京
「不安なる行為」 『有病治病、無病防身』 シカゴ現代美術館、サンディエゴ現代美術館、SITEサンタフェ 米国
「未来・現在・過去 第47回ヴェネツィア・ビエンナーレ」 『龍が来た!』 ヴェネツィア イタリア
「第5回国際イスタンブール・ビエンナーレ」 『彼岸』 イスタンブール トルコ
「動く都市」 『赤いゴルフ』 ゼツェシォーン美術館 ウィーン オーストリア
ボルドー現代美術館 ボルドー フランス
1996
  「20世紀の廃虚で」 『カニの家-Projects for 20th Century』 P.S.1ミュージアム ニューヨーク
  「アジア・太平洋現代美術トリエンナーレ」 『龍/虹の蛇-祝福或いは畏懽された神話』 クイーンズランド・アートギャラリー ブリスベン オーストラリア
「ユニバーサリス第23回サンパウロ・ビエンナーレ」 『ドーム-Projects for 20th Century』 サンパウロ ブラジル
「火の起源と神話-日中韓のニューアート」 『火の用心』 埼玉県立美術館 埼玉
「赤い門」 『蔵龍臥虎-真のコレクション:美術品収蔵庫のためのプロジェクト』 ゲント美術館 ゲント ベルギー
「ヒューゴ・ボス賞展」 『龍が来た!/狼が来た!-チンギスハンの舟』 グッゲンハイム美術館・ソーホー ニューヨーク
「天と地と間に-今日の日本美術展」 『チンギスハンの舟』 名古屋、タマヨ美術館 メキシコシティ メキシコ
1995
  「第51回スクリップスセラミック・アニュアル」 『大器未成』 ルース・チャンドラー・ウィリアムソン・ギャラリー、スクリップス・カレッジ クレアモント アメリカ
「第1回ヨハネスブルグ・ビエンナーレ」 『Project for Extraterrestrials No.25:制限のある暴力-虹』 ヨハネスブルグ発電所、タービンホールビル ヨハネスブルグ 南アフリカ
「開館記念展 日本の現代美術展1985-1995」 『東方・三丈塔』 東京都現代美術館 東京
  「トランスカルチュア展 第46回ヴェネツィア・ビエンナーレ」 『マルコ・ポーロの忘れ物』 ヴェネツィア イタリア
「水の波紋展」 『橋』 ワタリウム美術館 東京
「'95ジュン・アン・ビエンナーレ特別展<瞑想>」 『東アジア』 ホーアン美術館 ソウル 韓国
1994
  「亜細亜散歩」 『散歩』 資生堂ギャラリー 東京
「Making New Kyoto'94」 『長安からのお祝い-平安遷都1200年のためのプロジェクト』 京都
「水戸アニュアル'94<開放系>」 『宇宙図案:水戸のための風水プロジェクト』 水戸芸術館現代美術ギャラリー 茨城
「バース芸術祭<源泉>」 『Project for Extraterrestrials No.20:地球への梯子を揚げる』 バース イギリス
「アジアの創造力」『Project for Extraterrestrials No.16:地球にもブラックホールがある』(広島アジア大会のためのプロジェクト) 広島市現代美術館、広島市中央公園 広島
         「闇中の心」 『Project for Extraterrestrials No.21:神話射日、青十字-美術館のための処方箋』 クレーラー・ミュラー美術館、フェリューウェ国立公園・オッテルロー オランダ
1993
  「沈黙のエネルギー」 『Project for Extraterrestrials No.17:オックスフォードの彗星』 オックスフォード近代美術館、エンジェル・メドウ オックスフォード イギリス
  「野外制作'93」 『文明葬-野焚きより』 しがらき陶芸の森 滋賀
1992
  「カッセル国際美術展<他文化との遭遇>」 『Project for Extraterrestrials No.9:胎動・』 ハン・ミュンデン ドイツ
「テレコミュニケーション時代における美術展」 『Project for Extraterrestrials No.12:人類の神話』 ウィーン オーストリア
「宇宙樹を探せ-アジア現代美術への旅」 『火箭史』 埼玉県立近代美術館 埼玉
1991
  「アジアの浪 三人展」 東京画廊 東京
  「中国前衛美術家展<非常口>」『Project for Extraterrestrials No.11:天地悠々』 三菱地所アルティアム、香椎操車場跡地 福岡
1990
  「中国明日展-中国前衛美術の結集」 『Project for Extraterrestrials No.3:人類がその45.5億年経った星につくった45個半の<隕石クレーター>』 プ-リエール フランス
「ミュージアムシティ天神'90」 『Project for Extraterrestrials No.4:私はE.T.-天神と会うためのプロジェクト』 福岡市役所、長浜船留空地 福岡
「第7回JAPAN牛窓国際芸術祭」 『Project for Extraterrestrials No.5:胎動』 牛窓 岡山
1989
  「'89 多摩川ふっさ野外美術展」 『Project for Extraterrestrials No.1:人類の家』 多摩川 東京
1985
  「上海・福健青年現代美術連合展」 福州市美術館 福健省 中国
「武夷山野外展」 福健省 中国

書誌
Bibliography
「キャンバス上での火薬の爆発によるイメージの抽出から、起爆の一瞬に大地と人間の胎動を見いだす<地球美術>へ。既存の美術をその幻想から覚醒させ、無限に解き放つ、新しい世紀の美術が、このアーティストの手によって、すでに始められている-これは演習<シュミレーション>ではない。宇宙の生命体に向けられた、現実の爆発<ファイヤー・ワーク>だ。」
  美術手帖1991年4月号P202より抜粋

「古代、中国で発明された火薬を平面作品に持ち込み制作を続ける中で、その瞬間性と永続性、制作時のパフォーマンス性やトポロジカルな要素を、中国にいたころから考察を繰り返していた人間と自然、地球と宇宙、瞬間と歴史などの問題をテーマとした『プロジェクト・フォー・ET』シリーズへと移行する。この<野外での起爆>は、プロジェクトのためのエスキース(火薬画)制作や実現までの諸交渉から実際の行為とさまざまなメディアによる記録まですべてが<作品>とされることを特色としている。」
  美術手帖1991年4月号P209より抜粋

「現代美術の現在と過去を人類史に照して検証していくプロセスに、蔡の表現はより純粋に火薬そのものに潜在する力をひき出す方向へと進み、キャンヴァス上から空間をとりこむインスタレーションまで1年半、そして『プロジェクト・フォー・ET』というコンセプトで展開されていくことになるアースワークが始動したのは89年11月、来日から3年目のことだった。
 彼が現代美術の可能性と限界を見定めていく上でポイントになった表現は、イヴ・クライン、もの派をはじめとする70年前後の日本の現代美術などもあったが、なんといってもボイスとクリスト、デ=マリアの『ライトニング・フィールド』をはじめとするアメリカのアースワークだった。~中略~88年冬に当時の西武美術館で概観されたクリストの全プロジェクトが、蔡をして天地そのものの間に展開する火薬プロジェクトへ踏み出させる呼び水となったことは確かだろう。それは方法論による受容ではなく、文明の創造と破壊の転回点を人類にもたらした火薬の原郷からやってきた男が、あらゆる生命への抑圧を超えて、大宇宙から盗んだ火をふたたび天に還す龍と化すためのステップだった。」 鷹見明彦 『地球の仕事(アースワークス)AD2000 プラネット・アースの風水師たち』
美術手帖1991年11月号P92、93-愚公のように-より抜粋

「人間は物体としてこの時空に存在することに不快を感じ、沸き起こる欲望を火薬という暴力的な手段によって外に発散し処理してきた。私は暴力がすべてを創造し、またすべてを破壊したことをよく知っている。」 蔡國強(1986)
「火薬に集約される人間の一面にある暴力的本性が遍在するとき、戦争が発生する。芸術やスポーツは、そうした人類の根源にある衝動を浄化する役割を担うものだ。」 蔡國強(1986)
「爆発の瞬間に、人間が存在としてあること自体にまつわる一切の制約が消えて、生命と存在がやってきた宇宙の根源に繋がることができると蔡はいう。そのために、創造と破壊の両義牲の極点にある火薬を用いて、コントロールされた暴力的方法を創造へと転化する可能性を引き出すのだと…。蔡には、火薬の爆発をもって、歴史と人間性の基層に覚醒したいという衝迫があった。~中略~中国では、旧正月や祝事に爆竹を破裂させて邪気を払う風習がある。福健省や台湾、華南からヴェトナムあたりまで華僑圏にいくほど祭に爆竹と花火はつきもので烈しさを増す。子どもの頃から火薬が身辺にあって生活のスパイスとなっていた環境も見逃せない。」
 蔡は、印象派やキュビズムよりもむしろ、
「故郷の福健省にのこる武夷山の山水や原始の洞窟画、シルクロード、チベット高原への旅をとおして時間をこえて継続する人類の根を知ることのほうに惹かれたという。~中略~ある風土の固有性を背景にしながら醇かな普遍性を備えた古代文化に蔡がいかに憧れているかがよくわかったが、新しく触れる事物についても柔軟に吸収していこうとする 意欲に溢れていた。」
  鷹見明彦 『龍、奔る 全時空的旅程総覧』 美術手帖1999年3月号P23、24-原道篇-より抜粋 

「プロジェクト・フォー・ET(Extraterrestrials=知的地球外生命体)」は、地球のあらゆる時空を運行する大宇宙の一点と捉えて、さまざまな現われとしての土地や文化との関わりから発想される蔡の火薬によるアースワーク的なプロジェクト作品の総称である。」 鷹見明彦
「ここで求めているのは、作品の爆発の動きがビックバン以来延続してきた運動に循入し、宇宙のリズムと呼応することだ。爆発の一瞬、時空が混沌化する。宇宙が接近する。-このような人間のなかに存在する宇宙性と宇宙のなかに存在する人間との一体化を図る摸索は、太古の時代から人びとが求めてきた行動と一致していると思う。宇宙への帰還、同胞を探す試みは、人類の永遠の宿命的課題なのだ。しかし、この課題は、われわれの時代にさらに切迫したものとなってきた。宇宙からの視線をプロジェクトに組み込むのは、地球と人類へのトータルな危機感があるからだ。特殊性をもつ素材、場所、芸術活動を通じて表現したいのは、宇宙、地球、生命、文明の普遍性なのである。」 蔡國強(1993)
鷹見明彦 『龍、奔る 全時空的旅程総覧』 美術手帖1999年3月号P27-天則篇-より抜粋
 
1993年、『龍脈展』の後、蔡は、
「自然の薬草を使い、燃やして香を放ったり人びとに茶として飲ませるなど作品を直接生命と関係させる方法によって、アートが内外宇宙をつなぐ橋となるよう求めた。結局アートも生命活動のように自然、社会、文化や歴史などさまざまな問題と相互に関係している。」 鷹見明彦
「風水と東洋医学は同じで、どちらも自然や素材の物質条件を十分利用し、環境や身体の潜在エネルギーを活性化させる。それは相補相成の弁証法的な統一論であり、本来、陰陽原理の哲学にとどまらないダイナミックな実践と表現力にみちた方法論なのである。」 蔡國強 『思考と行動について』 国際交流基金アセアン文化センター・シンポジウム(1994)
  鷹見明彦 『龍、奔る 全時空的旅程総覧』 美術手帖1999年3月号P30-時則篇-より抜粋

「過去5年間の蔡のインスタレーションにも伝統的な中国の癒しの技法が取り入れられるようになった。たとえば、1994年の水戸芸術館での展覧会に先立って、彼が自分の<気>を高めるために故郷から風水の専門家を招いている。
 彼自身、よく風水による世界の癒しについて話す。風水は<地球のための鍼治療>であり、人間の精神を活性化するために薬用キノコ入りの茶を調合したり薬草を燃やしたりするのだという。蔡は自分の作品を<現在の消耗した芸術>と20世紀末の<地球上の社会>に活力を与える手段だと考えているのだ。」 Carol Lutfy 『Flame and Fortune.』 ARTnews96,no.3(1997)
美術手帖1999年3月号P37より抜粋

美術手帖1991年4月号、11月号、1992年2月号、1997年9月号P59<展示風景>、1999年3月号
越後妻有 アートトリエンナーレ2000 ガイドブック(2000)

情報収集・編纂: Tajima