エピソード01/02/03
「討議的正義をめぐる議論」は、ミシェル・ウォン(香港)、ランティアン・シィエ(ドバイ)、カベロ・マラッツィ(ヨハネスブルグ)の3人が3つの都市で実施するエピソードの企画です。
エピソード01の香港(予定)を皮切りに、エピソード02はヨハネスブルクで展示を、エピソード03は横浜で音と衣装にまつわるプロジェクトを展開し、それぞれ異なるアプローチで正義について考えます。
討議的正義をめぐる議論
エピソード01/香港
アフターパーティー
2020年10月17日
会場:香港、ヨハネスブルグからオンライン配信
エピソード02/ヨハネスブルグ
中断された時間のためのセノグラフィ
2020年7月3日~8月14日
会場:52 Kimberly Road, Lorentzville, Johannesburg
エピソード03/横浜
気配を感じて
2020年7月17日~10月11日
会場:横浜美術館
一連のエピソードは展覧会から支流のように分かれて、アジア、アフリカへと大陸を横断しながら行われます。中でも01から03は、平等を求めることから生まれるさまざまな難問(アポリア)を追求し、それを実践しようとするものです。その過程では、身体や言葉、音や衣装や楽器を使ったり、立場を変えながら公開討論会(フォーラム)を行ったりします。ここで参照されるのは、国際人権法を専門とする一部の学者が提唱する理論です。その理論によれば、法廷は、そこにかかわる人々の存在そのものによって誰もが発言できる公開討論の場(フォーラム)に変わり、発話行為そのものが正義を求める場になりえるのです。
思考のもととなるソース(源泉)とその過程(アイティネラリー)、そして対話を共有する環境(ミリュー)を作る方法を探し求めて、アーティストとキュレーターによる実験的な集団が結成されました。この集団は、「生命の低いつぶやき声──と嵐──の音を問い調べよ」とあおり立てます。そして、さまざまな種類の発話行為(スピーチ・アクト)や雑音、あるいはさまざまな話し方を、声の大小に関係なく平等に扱い、友愛を育むための枠組みを提案します。そこには、特別なフォーラムが作られ、思考を一時停止したり、加速したり、あるいは熟考を促したりする時間が生まれます。
彼らが試みる言説と公正、言葉と飢え、発話と身体をめぐるこうした議論は、異なる都市で、それぞれ時期を分けて、連続する3つのエピソードとして行われます。それはまた、形を変えながら進化していくものです。その中心的役割を担う集団(アンサンブル)は、一定の時間を静かにかつ集中的に占有し、破壊的なメカニズムを用いて、フォーラムにおける沈黙と慣例を打ち破ります。彼らは、それぞれの立場で主張すべき議論の形をここで明らかにしていくのです。
一年以上前に結成されて活動を始めたこの集団は、カーニバルや仮面舞踏会を連想させます。治療者(ヒーラー)とシャーマンのいる中つ国[作家、トールキンの描いた架空の世界]から雄叫びをあげ、刷新と承認をくりかえすテクノロジーと戯れ、訴えや謝罪、感謝や恩義を駆使して活動してきました。そして、記念碑的な作品を作るアートに真っ向から対峙する表現を追求し、討議そのものが表現となり、権利と実行、規律とその限度を試す場(サイト)として機能するように検討を重ねてきたのです。