2011.04.21
【ご挨拶:「震災を経て、開催にかける想い」総合ディレクター 逢坂恵理子】
ヨコハマトリエンナーレ2011は予定通り8月6日(土)から11月6日(日)を会期として、開催いたします。
このたびの震災を経て、開催にかける想いを、総合ディレクター逢坂恵理子よりあらためてご挨拶申し上げます。
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東日本大震災の被災者の皆さまに心よりお見舞い申し上げます。
一日も早い復興と皆さまの生活基盤の整備を願っております。
昨年来、短期間での準備というハードルを越えるべく走り続けてきましたが、未曾有の災害後、復興を模索する現在、現代美術の国際展であるヨコハマトリエンナーレ
2011について、私たちは何ができるのか、何をすべきなのか思いを深めながら、8月
6日の開催へ向けて準備を進めています。
国内外の出品作家の皆さまからは、災害後も積極的な参加の意思と激励をいただき、
感謝とともに身の引き締まる思いです。日本だけではなく世界の自然災害や戦争の被災者にも思いを寄せつつ、原点に立ち返って、展覧会を開催し美術の力を伝えてゆくことが、私たちの使命であると改めて実感しております。
ヨコハマトリエンナーレ2011の展覧会タイトル「OUR MAGIC HOUR ―世界はどこまで知ることができるか? ―」が示すように、世界は不思議に満ちています。
その世界を知ろうとすればするほど、私たちは人間のおろかさ、醜さ、豊かさ、素晴らしさに遭遇し、世界の奥深さを謙虚に受け止めることになるでしょう。
悲しみがあまりにも大きすぎるとき、生活が困難なときは、美術の力は微々たるものかもれません。厳しい状況を乗り越えてよりよい生に向かおうとするとき、美術を含む芸術は人間の精神に働きかけ、異なった視点や方向性を示唆するかけがえのないものとしてひとりひとりの心に刻まれる力を秘めています。
皆さまにとって、ヨコハマトリエンナーレ2011が、人間存在をめぐる不思議な一時を刻む創造的な時間となることを願っています。
ヨコハマトリエンナーレ2011
総合ディレクター 逢坂 恵理子